車椅子シーティング

座位と腰痛

座位と腰痛

腰痛と座位姿勢について論じた文献は非常に多いです。基礎的なものとしてCaillietは椎間板内圧を測定し、座位で15kg/cm2、立位で10kg/cm2、背臥位で7kg/cm2であったと述べており、座位が背臥位や立位と比較し内圧が高いことを示しました。
これは臨床での患者が椅子座位で痛みが強く、立位と臥位で軽減することの裏付けであるとしています。また、椅子座位に体を曲げて腕を少し前に出して手で何かを握っている姿勢も椎間板内圧を上昇させるとしています。
同様に、兼松らはL3-4での内圧測定で腹臥位<立位<正座<椅子座位<胡座(あぐら)で圧が高くなることを示しました。同様な結果を示すと同時に、あぐらの問題点も指摘しています。
腰痛を防止する上で座位姿勢は重要です。鈴木は座位姿勢で基本的に脊椎は正常の前弯位を保持すべきと述べていますが、森は逆に過度な腰椎前弯位を避けるようにすると述べています。
臀部と大腿を載せる座位持部の高さは膝関節90°がよく、奥行は臀部後面から膝関節後面までの2/3を載せる程度がよく、臀部が沈みこまない柔らかさで、背支持は肩甲骨の直下までとしています。
また、ソファーで腰痛を起こさないように座るには、思い切り背支持部に寄りかかり、膝を組むか、シート前縁に浅くかけて足関節のところで下腿を交差して、股関節を軽い外転・外旋位に維持すると良いと言われています。

腰痛に悩んだら

もともと、人間の体の構造上腰痛が起きることは必然といっても良いほど、避けられないものではあります。4足歩行から2足歩行への進化の過程で腰部に負担がかかることは当たり前のことなのです。
しかも、自然と立っている姿勢と、座っている姿勢とでは、立っている姿勢の方が、腰痛が軽減されることが分かっています。これは、知識としてしっかりと把握しておく必要があります。
また、腰痛が生じている人は、同じ姿勢のままいることがより悪いとされています。
つまり、座りっぱなしや立ちっぱなしといった、長い間同じ姿勢のままいると、次第に負担が重なっていきます。
自分が腰に違和感を感じたら、その時点で姿勢を変えられる場合は変えることが望ましいのです。
また、出来るだけ重たい荷物を避けたりすることも腰にとっては大事なことです。

シーティング最新記事