車椅子シーティング

シーティングの適応と座位時間

シーティングの適応

シーティングはどのような時に適応となるのでしょうか?
疾患、障害による影響が座位を困難にするケースが多くあります。大きくは姿勢の制御を困難にする中枢性神経障害や感覚神経障害、重力に対して力学的に身体を保つことを困難にする筋力低下を含む末梢性・筋性障害、一般的椅子形状への座位を困難にする骨関節障害に分かれてきます。
一般の座位保持装置の文献では、脳性麻痺、筋ジストロフィ症、二分脊椎症、頭部外傷、脊髄損傷、そして高齢者などの対応手法が述べられ、また、他に多関節硬縮症や自分自身を傷つけてしまう自虐症も座位保持の対象となってきます。
また、脳卒中急性期ではベッドサイドの座位耐性・バランス訓練として実施していく中での座位保持の必要性を述べています。急性期では対称で生理的な脊柱アライメント機構やヘッドサポート(頭部支持)などの支持が障害や意識の回復によって、それらの機器をはずして、最終的に歩行していく使い方もあります。
逆に、ターミナルケアでは褥瘡の発生、呼吸障害、嚥下障害などの予防と同時に、介護者への配慮も必要となります。また、高齢者の孤独化を防ぐ意味でも移動が可能な車椅子の使用は重要となってきます。

座位時間

1989年以降に、厚生労働省が発表したゴールドプランによって、ベッドでの寝たきりを予防する目的で車いす座位が推奨されました。
特に、座位でいることで認知症や筋力・持久力低下を予防するという考え方、または期待があります。そして、現在移動を目的とした車椅子に不良な姿勢で長時間、毎日座ることを不快と同時に多くの問題を抱えています。認知症や持久力低下を予防するためには座位時間を長く、褥瘡予防や座位の問題を解決するためには座位時間を短くする必要があります。
これらの間に矛盾が生じてしまう訳です。施設では、8時間の睡眠に対して16時間の座位時間の可能性があるわけです。この時間は、成田から米国や欧州へ飛行機で行く時に座る時間以上に長く、当然その間は高齢者は席を立ったり、姿勢が変えられないのです。また、車イスの購入費について問われる事がありますが、ベッドが8時間、座っている時間が16時間であれば、それに合わせた費用対配分も考えられるべきではないでしょうか?
一般にトイレやおむつ交換などで、連続して座っているということはあり得ません。
長時間車いす座位をとる場合でも、移乗が自立でき、例えば、トイレなどが自立している場合と、ターミナルケアのように全く自分では動けない状態もあり得るのです。このように、1日の総座位時間としての座っている時間と連続で座っている時間での座位時間とが関係していきます。

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