車椅子シーティング

仙骨座り

高齢者の代表的な姿勢

高齢者に多い仙骨座り

高齢者の代表的な問題のある姿勢として、仙骨座りと骨盤の傾斜が挙げられます。

仙骨座り

横からの姿勢の変化であり、骨盤が後傾し、腰痛が後弯する状態ですが、これに膝屈曲、脊椎全体での後弯、頭部屈曲が含まれる場合もあります。腰椎部での生理的前弯がとれず、手をいれると圧迫感を得られます。また、上前腸骨棘を結んだ線が後方に傾斜している状態でも判断できます。
この姿勢は尾骨部の褥瘡リスクを増加させ、坐骨部は前方に移動し、せん断力や摩擦を引き起こします。股関節はより伸展位になり、大腿を椅子の外におしだします。また、足部を前方に広げ、棘突起での褥瘡リスクを増加させると、述べています。

原因

原因として、基本的に体幹や四肢の筋力や平衡機能の低下が基本的にありますが、
①車椅子の座面の奥行が長い
これは大きな車椅子に小さな方が座る場合が考えられます。標準型車いすの大きなタイプが高齢者施設で多く使用されています。小さい車いすに座れないが、大きな車椅子には座れる。しかし、短時間の座位なら問題ないが、長時間の座位では背もたれにもたれる状態になり、力学原則に基づいて滑っていきます「。

②ハムストリングスが短縮している
歩行が困難になるとハムストリングスは短縮を起こしやすく、高齢者によく見られます。この筋群が短縮すると筋が伸びなく、長さが一定となります。そのため、膝関節が伸ばされると骨盤は後方に傾斜する働きが生まれます。通常車いすは座面の前にフットポートがあるため、車いすの座面に座ってフットポートに脚をおこうとします。その結果、膝関節が伸ばされ、骨盤が後傾する。そして、背がもたれかかる。

③背がシート状であるため、腰椎、骨盤を支持しない
車椅子の背は1枚のシートでできており、またシートの上端は二重に縫われているため、シートの伸びが異なります。長時間の座位では骨盤の中間位や腰椎の経度の前弯位(いす座位の基本)を保持できず、骨盤の後傾、腰椎の後弯を起こし、もたれていきます。

④ドーナッツ用円座を使用している
車椅子のクッションとしてドーナッツ様やビーズ製の薄い円座を使用する場合があります。これらの円座は褥瘡防止を標榜していますが、減圧能力はありません。同時に、円の中央に座ってしまうため背もたれに倒れることや、円座と車いすシートが滑りやすくさらに身体を前部に押しだします。


⑤介護時、座面の奥まで座っていない
ベッドから車椅子に本人や介助者によって移乗したとき、十分に奥に座っていません。一度、移した後、再度後方から座面の奥へ入れることを試みます。

⑥股関節や背に関節可動域の制限がある
何らかの原因で股関節や背が十分な可動域を持っていない場合があります。股関節の屈曲が座面角度異常や、また脊椎の屈曲制限があるなどがあります。これは滑った状態で長時間座位をとった二次的要因としてこの姿勢となります。この場合は、固定すると背部を圧迫させ、背部に褥瘡をつくる場合があります。

⑦車椅子走行時、足で操作している
片麻痺の方で、足を使用して車いすを走行する場合があります。踵またはつま先で床を蹴りながら進むと、すべった状態になります。
⑧クッションがなく、痛さから逃れようとしている
など標準型車いす側の要因が関係します。

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