車椅子シーティング

車椅子移乗と移動(座位編)

座位移乗

座った姿勢のまま移乗する座位移乗には、横方向または斜め方向に移乗する横移乗と正面方向移乗する正面移乗があります。
座位移乗では、立位移乗と比べて立ち上がり・方向転換・着座するという不安定な動作を必要としていないために、下半身障害のある高齢者・障害者にとって移乗が安全に行え、適用の範囲が広い移乗方法であります。また、解除者にとって身体に負担の少ない移乗方法といえるでしょう。対象者にとっても介助者にとっても安全で無理のない座位移乗は、車椅子を利用する生活の中で移乗の機会を増大し、ADLやQOLの向上につながります。
座位移乗の場合は、車椅子座位が開始姿勢であることから、他の移乗方法に比べて重心の上下運動がすくない状態です。さらに、これまで多くの介助を必要としていたケースでも介助量が減少するか、完全自立での安全な移乗が可能になる場合があります。これは介助者の負担を大きく軽減することになり、介助者自身を守るという点から腰痛防止ベルト等の併用も重要になってきます。
特に車椅子はアームサポートとフットサポートの容易な取り外しや跳ね上げ機構が必要であります。
アームサポートが外せれば高さのバリアをなくし、ベッドの高さから車椅子の高さまでその高さを維持したまま水平に移動できます。また、フットサポートが外せればベッドと車椅子の空間を埋め、その間に落ちるなどの危険性を少なくします。また滑りを良くして移乗を用意にさせてくれます。
正面移乗は長座位での安全性があれば、フットサポートを左右開いて、ベッドに接近させて、いざりで移れる場合もあります。
しかし、臀部にはせん断力がかかる可能性が有り、、褥瘡のリスクがある場合は不適切です。

持ち上げ移乗

高齢者は皮膚や骨がもろく、介助者が持ち上げて、適切に移すことは難しいです。また、関節制限や痛みがあると介助者への負担が大きく、皮膚や骨への注意がおろそかになります。持ち上げ移乗では介助者は皮膚や骨に負担のかからないように冷静な監視の目の役割やそばにいて顔色を見るなどの安心感を与え、移動や持ち上げなどの力は機械によって行うべきであります。
介助者による移乗ではより複数の介助者がいたほうが好ましいです。多くの手によって支持されることで、1箇所への皮膚や骨への負担を減らすことになります。
機械ではスリングを適切に高齢者に入れ込み、介助者は持ち上げ時に皮膚・骨に負担がないように監視しながら移乗していきます。特に臀部に褥瘡のリスクがある場合、推奨される方法です。

シーティング最新記事