車椅子シーティング

>椅子座位姿勢の基本と指標

椅子座位姿勢の基本

立位姿勢と比較し、座位姿勢は医療輔分野では良い姿勢が強調されてこなかったと思われます。確かに、人間工学や体操などの分野、そして子どもに対するしつけなどでは良い姿勢が存在しました。
しかし、リハビリテーションの分野では最適な座位姿勢の定義がないため、車いす上の座位姿勢に対するアプローチが遅れたと言っても過言ではないでしょう。
実際に車いすの対象となる高齢者や障害者は関節可動域制限などの何らかの理由で良い姿勢で座ることが出来ません。座位評価を通し、セラピストがその人に最適な姿勢となる基本を設計していくことが大事です。
しかし、現時点でも、コンセプトが得られた最適な座位姿勢はありません。ここでは、一つの基本または指標となる椅子座位姿勢、車いすの座位姿勢を決定、そして姿勢を表現するための手法を解説していきます。

指標となる椅子座位姿勢

最適な姿勢とは、座位保持の目的で述べた、座り心地の良い、機能的で、移動が容易で、生理的で、外観もよい、介護しやすい、などが挙げられます。その中で、生理的であることは特に強調される指標です。
脊柱や頭部の位置関係としては垂直線上に、そして生理的湾曲の最小の範囲であることです。これにより、筋のストレスを最小にして長時間の座位生活を過ごすことが可能になります。しかし、例えば頭部が傾いた時、より大きな筋力が必要になり、障害がある場合、さらなる変形が増加することになります。骨盤が後傾することで腰椎が後方に倒れ、力学的に腹部筋などの負担が大きくなります。
また、骨盤が中立位になっている事は坐骨結節で荷重を受けることであり、褥瘡のリスクを軽減させることが出来ます。

利点

脊柱カーブが薄いダブルのS字を描くことで、腰椎部での前弯を確保し、椎間板での圧迫などが軽減されます。また、骨盤はやや前傾した状態であり、作業姿勢への変換や骨盤を後傾した、休息姿勢などが簡単にとれます。また、椅子座面の合成が高ければ、足を組むなどの姿勢で、左右への体重変換も可能であります。前額面では、頭部が正中位にあることで、両手動作が可能となります。頭部が正中位から外れると、重心位置がずれて、片麻痺などでは、健側上肢が姿勢保持の役割で使われる事が多いです。

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