車椅子シーティング

高齢頸髄損傷者の車椅子シーティングの方法

頸髄損傷の状態

今回60代男性の頸髄損傷者の車椅子シーティングの方法について解説していきます。30代で交通事故になり、頸髄損傷(C5不全、右C8、左C7頸髄節より完全損傷)、身体障害者手帳はⅠ種1級で、体幹機能障害と四肢麻痺を呈していた状態の症例で検討していきます。
風邪により肺炎を併発し、仙骨部、坐骨結節部に褥瘡発生により敗血症にて入院、7月に全身状態安定にて退院しました。左坐骨結節部に褥瘡ステージⅢがありました。担当医師により褥瘡完治まで臥床生活を指示されました。

シーティングの評価

簡易座位能力分類:3
座位能力分数:3
Braden Scale:16
マット評価:臥位では問題なし、座位で体幹側方支持必要
全身状態は落ち着いてきましたが、自宅で本人は車いす座位がとれないために、生活上の不満を持っていました。以前の車椅子では座位姿勢が保てずにすぐに斜め座りに移行しました。滑り座りになると自分での姿勢の修正は難しく、屋内での車いす操作が出来ない状態で、座位に問題アリの座位能力分類Ⅱレベルでした。福祉事務所に車いす制作の依頼を出しましたが、褥瘡が治癒していないため、完治してからの制作になるとの連絡がありました。
本人は褥瘡が治癒していないが、1日の生活で少しでも座位時間を確保したいとの事で、車椅子は身体障害者手帳を使用して、モジュラー車いすを選定しました。
特に、褥瘡があることで、褥瘡予防機能の高いクッションを試用評価しました。
方法としては座位時間は褥瘡を配慮して、1回の座位時間を30分程度としました。

方法と対策

訪問看護師の処置と1時間以内の座位時間で褥瘡は警戒していき、3ヶ月程度で完治しました。
屋内移動は車椅子自走で自立しました。入院以前から行っていた小中学生の学習塾も再開し、屋内は自立し、座位が安定した状態で、習字などの問題もなくなりました。屋外での散歩は坂道があるために、妻が介助で移動していました。その後、本人は近所の散歩は自分で行いたいとのことで、使用していたモジュラー車いすに電動ユニットを自費で追加して、感に電動車いすとして屋外移動も自立しました。

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